磁性・統計力学談話会


連絡先: 宮下精二(miyaあっと spin.phys.s.u-tokyo.ac.jp)
宮下研究室| (MITセミナー)

これからのセミナー

日時 場所 講演者 講演題目
2017年3月8日15時より 理学部1号館 447教室 Irinel Chiorescu (Florida State University) Coherent manipulation of multi-level systems

これまでのセミナー

日時 講演者 講演題目
2008年2月20日(水)
午後4時より
Professor Hans-J"urgen Mikeska(University of Hannover) Dynamics of the distorted diamond chain
2007年6月20日(水)
午後6時半より
求幸年先生(東大物理工学専攻) パイロクロア反強磁性体におけるフラストレーション --Crスピネル酸化物の示す半磁化プラトーとその周辺
2006年10月25日(水)
午後6時半より
陰山 洋先生(京都大学大学院理学研究科化学教室) 層状ペロブスカイトが出す多彩な量子磁性とフラストレーション
2006年7月12日(水)
午後6時半より
益田 隆嗣先生(横浜市立大学国際総合科学科) Cu2M2Ge4O13(M=Fe,Sc)の磁性
2006年5月24日(水)
午後6時半より
坂井 徹 先生(日本原子力研究開発機構) フラストレートした擬一次元反強磁性体の磁場誘起秩序
2006年1月25日(水)
午後6時半より
吉田誠先生(東京大学物性研) 有限Haldane鎖のエネルギー微細構造とその鎖長依存性−強磁場ESRによる直接観測
2005年12月21日(水)
午後6時半より
藤堂眞治先生(東京大学) 強い空間的異方性をもつ量子反強磁性体のネール温度とユニバーサリティー
2005年11月2日(水)
午後6時半より
植田 浩明先生(東京大学) 磁場によるフラストレーションの解消 -- クロムスピネルにおける磁場誘起構造相転移
2005年9月14日(水)
午後6時半より
川島 直輝 先生(東京大学) ダイマー磁性体の磁場誘起磁気秩序化
2005年6月22日(水)
午後6時半より
Professor Bernard Barbara (Laboratoire Louis Ne'el) Experiments on the spin-bath in spin-tunneling systems
2005年5月18日(水)
午後6時半より
押川 正毅 先生(東京工業大学) What you can know and what you can't know from "Lieb-Schultz-Mattis" type argument
2005年4月13日(水)
午後6時半より
網代 芳民 先生(京都大学) ナノ磁性体の磁気緩和

2016年度第1回

日時:2017年3月8日(水)15時より

場所:理学部1号館 447教室

講演者: Professor Irinel Chiorescu (Florida State University)

講演タイトル: Coherent manipulation of multi-level systems

講演要旨:

Using a multi-level quantum system, we demonstrate Rabi oscillations between states belonging to different realizations of quasi-harmonic oscillators. The Mn ions diluted in a MgO matrix have tunable equally-spaced Sz spin states [1,2]. The hyperfine field is large enough to separate sets of states {Iz, Sz=-5/2…+5/2} of consecutive Iz values, sets which are coupled. This coupling is strong enough and the coherence times of the electro-nuclear states are large enough, to induce a level repulsion of corresponding dressed states which we measure using a two-tone technique [3]. We will discuss methods to study quantum spin resonances and Rabi oscillations using on-chip techniques for high magnetic fields, in particular a combination of microwave antenna with SQUID readout. A study on a variety of low and high-spin species will be presented.

References
[1] Bertaina, S., Chen, L., Groll, N., Van Tol, J., Dalal, N. S. & Chiorescu, I. Multiphoton Coherent Manipulation in Large-Spin Qubits. Phys. Rev. Lett. 102, 50501-50504 (2009).
[2] Bertaina, S., Groll, N., Chen, L. & Chiorescu, I. Tunable multiphoton Rabi oscillations in an electronic spin system. Phys. Rev. B 84, 134433 (2011).
[3] Bertaina, S., Martens, M., Egels, M., Barakel, D. & Chiorescu, I. Resonant single-photon and multiphoton coherent transitions in a detuned regime. Phys. Rev. B 92, 24408 (2015).

2007年度第2回

日時:2008年2月20日(水)午後4時より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:Professor Hans-J"urgen Mikeska(University of Hannover)

講演タイトル:Dynamics of the distorted diamond chain

講演要旨:
We will present results on the dynamics of the S=1/2 distorted diamond chain, a complex one-dimensional frustrated quantum spin model with both gapless and gapped phases and with a 1/3 magnetization plateau. We will discuss results for excitation spectra and for the specific heat in the spin-fluid and tetramerdimer phases of the distorted diamond chain for both zero magnetic field and in the regime of the magnetization plateau for representative exchange couplings. We will relate the results to recent inelastic neutron scattering experiments on Cu3(CO3)2(OH)2 (the mineral azurite) and discuss the consequences for the values of the exchange couplings in this material including the possibility of partly ferromagnetic exchange. The excitations in the gapped tetramer-dimer phase will be characterized as solitons.

2007年度第1回

日時:2007年6月20日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:求幸年先生(東大物理工学専攻)

講演タイトル:パイロクロア反強磁性体におけるフラストレーション --Crスピネル酸化物の示す半磁化プラトーとその周辺

講演要旨:
正三角形をユニットとする格子構造をもつ系では、局所的な三角関係によるフラストレーションが系全体に 存在することによって、基底状態や熱力学的性質に奇妙な性質が現れることがある。 本講演では、特にフラストレーションの効果が顕著なパイロクロア格子に注目し、 これを基本構造にもつクロムスピネル酸化物において最近見出された半磁化プラトー現象に関連する 我々の理論研究の成果を紹介する。モデルとしては、古典スピンをもつ反強磁性ハイゼンベルグ模型を考え、 フラストレーションによって生じた縮退が、格子歪みとの結合・長距離交換相互作用・外部磁場によってが どのように解放されるのかを、モンテカルロシミュレーションと低温展開の手法を用いて調べた。 その結果、実験結果を半定量的に理解できるのみならず、興味深い振る舞いとして、 スピン液体的な磁化プラトー状態やスピンネマチック相、order from disorder 機構による磁化プラトーなどを見出した。 これらの新奇な状態の発現機構および現実の物質との関連を議論する。

2006年度第3回

日時:2006年10月25日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:陰山 洋先生(京都大学大学院理学研究科化学教室)

講演タイトル:層状ペロブスカイトが出す多彩な量子磁性とフラストレーション

講演要旨:
ペロブスカイト関連化合物は、高温超伝導、巨大磁気抵抗、誘電体などの 研究では中心的な役割を担ってきた。ただ正方格子を基調としており最近接 相互作用が一般に支配的であるため、フラストレーションの研究の舞台とし ては使われてこなかった。本研究では、非磁性ペロブスカイトブロックの間 に、銅(Cu2+)とハロゲン(Cl-, Br-) からなる格子が挿入された一連の物質群の磁性について報告する。 これらの物質は、準安定相であり、低温合成法の一つであるイオン交換反応を経由してのみ得ることができる。  得られた物質は、構成元素や面内、層間距離などのパラメータによって様 々な興味深い現象を示すことがわかってきた [1]。例えば、n=2型(CuCl)La Nb2O7の基底状態は長距離秩序を持たないスピン一重項状態(ギャップの大 きさ約2meV)である。一方で、(CuBr)LaNb2O7は 32Kでストライプ型の反強磁性秩序を示す。 この結果は、Cl系とBr系では、相互作用の大きさや比が 異なることを示唆するが、実際、この両者の全率固溶系は系統的な物性の変 化を示す。また、n=3型(CuBr)Sr2Nb3O10では 1/3磁化プラトーが観測された [2]。 三角格子ではしばしば観測される1/3プラトーが正方格子において発 現したのは興味深い。まだ、これらの物質の物性研究は始まったばかりであ り、粉末試料のデータしかないこともあって未知の部分は多いが、今後この 物質系を通じて、正方格子を舞台とした多くの量子現象が明らかになってい くものと期待している。時間が許せば、中性子散乱などの最新データや、そ の他の系の物性、単結晶育成の試みなどについても紹介したい。
[1] 陰山洋、北野太郎他、固体物理 41, 129-138 (2006).
[2] 辻本吉廣、馬場洋一他、2006年秋季日本物理学会24aXK6.

2006年度第2回

日時:2006年7月12日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:益田 隆嗣先生(横浜市立大学国際総合科学科)

講演タイトル:Cu2M2Ge4O13(M=Fe,Sc)の磁性

講演要旨:
量子スピン系は、スピンの幾何学的な配置によって、 量子揺らぎにより基底状態が強く乱されたスピン・ギャップ系と、 長距離秩序が発現するスピン・ギャップレス系の二つに大別することが出来る。 本談話会では、これらの対照的なスピン系を含む物質例として、 ダイマーと一次元鎖が弱く結合したCu2Fe2Ge4O13を取り上げ、 磁化率・比熱・中性子散乱実験について説明する[1]。 また、最近Feを非磁性イオンScで置き換えたCu2Sc2Ge4O13の合成に成功した[2]。 結果は、Fe化合物のダイマーと全く同じエネルギー(J=24 meV)において 非分散な磁気励起が観測され、磁化率のデータもダイマーモデルで説明された。 つまり、Fe化合物の二成分系からダイマー成分だけを抜き出したことになる。 当日は、Fe化合物とSc化合物の比較検討なども行う。
[1] T. Masuda et al., PRL 93, 077202 (2004), T. Masuda et al., PRB 72, 094434 (2005).
[2] T. Masuda and G. J. Redhammer, unpublished.

2006年度第1回

日時:2006年5月24日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:坂井 徹 先生(日本原子力研究開発機構)

講演タイトル:フラストレートした擬一次元反強磁性体の磁場誘起秩序

講演要旨:
次近接交換相互作用によるフラストレーションのある擬一次元ボンド交代 反強磁性体の磁化過程について、鎖間相互作用を平均場近似し、鎖内を密 度行列繰り込み群で計算する手法で解析した結果を報告する。[1]
ボンド交代鎖はスピンギャップが消失する第一臨界磁場から、磁化が飽和す る第二臨界磁場の間では、磁場に垂直な反強磁性スピン相関関数と、磁場に平 行な非整合スピン相関関数が、ともに代数関数的に減衰する、マグノンの朝永・ ラッティンジャー液体になることが知られている。単なるボンド交代鎖では、 この反強磁性スピン相関と非整合スピン相関の臨界指数は、常に前者が小さく、 従来から知られる磁場に垂直な反強磁性が支配的であるのに対し、次近接相互 作用によるフラストレーションがある程度強くなると、飽和磁化の半分に近い あたりで臨界指数の大小が逆転し、磁場に平行な非整合スピン相関が支配的に なる場合があることが、最近の数値対角化とサイズスケーリングの解析により 示された。[2]そこで本研究では、鎖間相互作用のある擬一次元系で、このよ うな臨界指数の逆転が起きる場合に相当するパラメータ領域で、どのような 三次元秩序が起き得るか、上記の密度行列繰り込み群を用いる手法で解析した。 その結果、従来知られる磁場誘起反強磁性秩序相の他に、磁場誘起非整合秩序 相も生じえることがわかった。いくつかの典型的な場合の相図を示し、関連する 実験との関連を報告する。
[1]N. Maeshima, K. Okunishi, K. Okamoto and T. Sakai: Phys. Rev. Lett. 93 (2004) 127203; to appear in J. Phys.: Condens. Matter.
[2]T. Suzuki and S. Suga: Phys. Rev. B 70 (2004) 054419.

2005年度第7回

日時:2006年1月25日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:吉田誠先生(東京大学物性研)

講演タイトル:有限Haldane鎖のエネルギー微細構造とその鎖長依存性−強磁場ESRによる直接観測

講演要旨:
一次元量子スピン鎖は量子揺らぎのために長距離秩序を示さず特異な基底状態をとるが、 そのようなスピン鎖を有限鎖長に切った場合、有限鎖の状態は系本来の相関を反映するかたちで 鎖長依存性を持つと考えられる。今回我々は、強磁場ESRにより有限Haldane系(Y2BaNi1-xMgxO5) の低エネルギー励起(鎖端スピン状態)を鎖長分解的に直接観測することに成功した。 この結果から、実際に有限Haldane鎖の鎖端状態が特徴的な鎖長依存性を持つことを実験的に明らかにした。 さらに鎖長依存のパラメータを実験的に非常に精度よく決定した。 この鎖長依存性のパラメータを有限鎖の数値計算と比較することにより、 相関長などの系本来の情報を精度よく得ることが可能となる。 セミナーでは測定及び解析結果の詳細を解説する。

2005年度第6回

日時:2005年12月21日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:藤堂眞治先生(東京大学)

講演タイトル:強い空間的異方性をもつ量子反強磁性体のネール温度とユニバーサリティー

講演要旨:
低次元の反強磁性ハイゼンベルグ模型は、熱ゆらぎのため絶対零度以外では長 距離秩序を示さない。一方、現実の擬一次元/二次元物質では、弱い鎖間や面間 相互作用が存在するため、有限温度で相転移が起こりうる。このような系の相 転移については、これまでは主として鎖間/面間の弱い相互作用の効果を平均場 的に取り入れる近似のもとで解析が行なわれてきた。今回、我々はモンテカル ロ法を用いて、強い空間的異方性(相互作用比〜1/1000)をもつ量子反強磁性ハ イゼンベルグ模型のネール温度を精度よく評価した。その結果、鎖間/面間相互 作用の弱い極限においても平均場的アプローチは正しい結果を与えないことが 明かとなった。本講演では、新たに見つかったネール温度と帯磁率との間の(ス ピンの大きさに依存しない)ユニバーサルな関係式、またその結果の解釈などに ついて議論したい。

2005年度第5回

日時:2005年11月2日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:植田 浩明先生(東京大学)

講演タイトル:磁場によるフラストレーションの解消 -- クロムスピネルにおける磁場誘起構造相転移

講演要旨:
クロムスピネルMCr2O4は,クロム原子間の反強磁性相互作用のため に強い磁気的フラストレーションが存在している.そのため,比較的 低温まで磁気秩序を示さない.この中の一つであるCdCr2O4に磁場を印 加すると,約28Tで相転移し,全磁化の半分の磁化を持つ相に転移する ことが数年前に発見された.ついで,HgCr2O4でも約10Tで同様の転移 が見つかった.これらの磁場誘起相は,アップスピンとダウンスピン が三対一で配列した構造を取っていると考えられる.これは,磁場に よってフラストレーションが解消した磁気構造へ転移したものとみな すことができる.  また,この磁気転移は,格子変形も伴うことが明らかになっており, スピン格子相互作用も重要な役割を果たしていると考えられている. 実際,理論的にも格子変形によって磁場誘起相が安定化しているとの 提案がなされている.  講演では,これらの磁場誘起構造相転移に関して,フラストレーシ ョンおよびスピン格子相互作用の重要性に関して,最近の実験結果も 交えながら紹介する.

2005年度第4回

日時:2005年9月14日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:川島 直輝 先生(東京大学)

講演タイトル:ダイマー磁性体の磁場誘起磁気秩序化

講演要旨:
ダイマー磁性体とは強く反強磁性的に結合したスピン対(ダイマー)が互いに弱く結合してd次元格子を作った系である. ダイマー内結合のために通常スピン自由度は消えており,温度変化にも際立った特徴は見られないが, 強磁場の印加によってシングレット対の一部がトリプレットになる. それに伴って磁気秩序化転移が観測されるが,それはこのトリプレット励起がボーズ的準粒子として振る舞い, ボーズ凝縮を起こした,という風にとらえることもできる. 実際 ThCuCl3 や BaCuSi2O6 などで観測されている有限温度における転移は3次元ハードコアボーズ気体, あるいは3次元XYモデルのユニバーサリティークラスの臨界現象であるように見える. しかし,絶対零度における量子臨界現象に関しては,現在に至るまでどのようなユニバーサリティクラスに 属しているかに関してさまざまな議論がある. われわれが行った量子モンテカルロ法によるシミュレーションの結果を交えながら,これまでの議論を整理してみたい.

2005年度第3回

日時:2005年6月22日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:Bernard Barbara 先生(Laboratoire Louis Ne'el)

講演タイトル:Experiments on the spin-bath in spin-tunneling systems

講演要旨:
Slow quantum dynamics occurs when spins are large, which is the case with single molecule magnets such as Mn12-ac or Fe8. Spin dynamics is then at the border resonant quantum dynamics and classical dynamics. This physics is discussed in the framework of the spin-bath in which inhomogeneous level broadening result from quasi-static dipolar interactions while homogeneous broadening comes from weak entanglements to environmental spins. New aspects of the spin-bath appear in recent extensions to the case of rare-earth ions, where large hyperfine interactions lead to strong electro-nuclear entanglement. Some consequences will be derived and further developments discussed.

2005年度第2回

日時:2005年5月18日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:押川 正毅 先生(東京工業大学)

講演タイトル:What you can know and what you can't know from "Lieb-Schultz-Mattis" type argument?

講演要旨:
Lieb-Schultz-Mattis定理は、シンプルな議論によって得られる重要な結果として古くから知られていたが、 最近様々な一般化により広い範囲の系に適用され再び注目されている。 しかし、結果の解釈には注意が必要である。 最近の研究の進展も含めて、LSMとその一般化から何が言えるかをレビューする。 特に1次元系と高次元系の差異、またいわゆるトポロジカル秩序との関係を議論したい。

2005年度第1回

日時:2005年4月13日(水)午後6時半より

場所:理学部1号館9階934号室

講演者:網代 芳民 先生(京都大学)

講演タイトル:ナノ磁性体の磁気緩和

講演要旨: