統計力学セミナー予定表 2011年度


連絡先: 齊藤圭司(saitohあっと spin.phys.s.u-tokyo.ac.jp)、 島田尚(shimadaあっと ap.t.u-tokyo.ac.jp)
宮下研究室伊藤研究室 (セミナー)| 藤堂研究室羽田野研究室 (セミナー)

これからのセミナー

日時 場所 講演者(敬称略) 講演題目

これまでのセミナー

日時 講演者(敬称略) 講演題目
3月22日 Eric Vincent氏 (Service de Physique de l'Etat Condense (SPEC), CEA-Saclay) Out of equilibrium dynamics and effective temperature in some glassy systems
1月10日 齋藤圭司氏 非平衡系での相加性原理について
12月20日 島田尚氏 生態系進化の簡単なグラフモデルについて
12月14日 竹内一将氏(東大理) 揺らぐ成長界面の普遍性 ~実験で見るランダム行列との不思議な関係~
12月7日 田中久陽氏(電気通信大学) 振動子の引き込み同期の「設計」理論構築と応用
11月29日 羽田野直道氏 量子ドットのリウビリアンの複素固有値問題と時間反転対称性の破れ
11月22日 出口哲生氏(お茶大理) 孤立した可積分量子多体系における局在波の非平衡緩和ダイナミクス
11月15日 仙場浩一氏
(NTT物性科学基礎研究所
超伝導量子物理研究
グループリーダ)
ダイヤモンド中の電子スピン集団と超伝導磁束量子ビット 系で観測されたコヒーレントな量子結合
11月8日 伊藤伸泰氏 爆発現象の非平衡シミュレーション
11月1日 松尾衛氏
(日本原子力研究開発機構
先端基礎研究センター)
加速系におけるスピン軌道相互作用とスピン流生成
10月25日 久保結丸氏(Quantronics group, SPEC, CEA-Saclay) 超伝導量子ビットと電子スピン集団によるハイブリッド量子回路 - Hybrid Quantum Circuit with a Superconducting Qubit coupled to an Electron Spin Ensemble
10月11日 紺野友彦氏 A Condition for Cooperation in a Game on Complex Networks
10月4日 川本達郎氏 Microscopic analysis of the microscopic reversibility
9月28日 S. Ramasesha氏(Indian Institute of Science) Modeling magnetic anisotropy in molecular magnets
7月26日 Tomio Yamakoshi Petrosky氏(University of Texas) Level Repulsion of Eigenstates of the Liouvillian in Asteroid belt in the Solar System, and its analogy to the Band-Spectrum of an Electron in Solid State Physics
7月12日 宮下氏 Decoherence mechanism of cavity photon and spin ensemble driven by an external AC field
6月28日 桑原氏 Maximization of thermal entanglement of arbitrarily interacting two qubits
6月21日 小串典子氏(理研) 二成分脂質二分子膜中における脂質分子の垂直拡散 運動
6月14日 Per A. Rikvold氏 (Florida State University) Statistical Mechanics and Partitioning of Power Grids
6月7日 Enachescu氏(Alexandru Ioan Cuza University) Models in spin crossover compounds: from mean-field to Ising and elastic approaches
5月31日 大越氏(東大理) 磁気化学を基盤とした新規磁性物質の創成
5月24日 有田氏(物工理論セミナー) TBA
5月17日 田中宗氏(東大理化 大越研究室 学振特別研究員) 透明状態のあるPottsモデルの相転移と秩序融解過程
5月10日 正木晶子氏(首都大理工) 光学格子上のボーズ・フェルミ混合系での引力相互 作用によるモット転移 の誘発
4月26日 泉田 勇輝氏 最大仕事率で動く非線形不可逆熱機関の効率の上限 値
4月19日 新M1 研究紹介
所属が書かれていない講演者は、宮下研、伊藤研、藤堂研の所属です。
過去のセミナー: 2010年度2009年度2008年度2007年度2006年度2005年度2004年度2003年度2002年度2001年度2000年度1999年度

第26回

日時:3月22日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:Eric Vincent氏

講演タイトル:Out of equilibrium dynamics and effective temperature in some glassy systems

講演要旨:
Structural glasses are liquids which need huge times to flow. Many disordered systems remain out of equilibrium for such huge times, and can be examined as "glasses": spin glasses, magnetic nanoparticles, polymers, colloids, grains, etc. Glasses are ubiquitous. Among the numerous conceptual tools that have been developed to grasp their intriguing features, the notion of an "effective temperature", defined as the degree of violation of the Fluctuation-Dissipation Relation, has been the subject of an increasing interest these last years.
A lot of experimental efforts have been devoted to measuring this quantity in very different physical realizations of glasses. In this talk I shall introduce, as examples, some recent results obtained in nice experiments concerning interacting magnetic nanoparticles, a colloidal gel, and even a case of "active matter" which, though not being necessarily a glass, is certainly an interesting off-equilibrium situation.
The status of this effective temperature in glassy systems is not yet fully clear, and the aim of this talk will be more to raise questions than to answer them, together with guiding a non-expert audience through some aspects of the glassy dynamics that have been investigated in recent and often challenging experiments.

第25回

日時:1月10日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:齋藤圭司氏

講演タイトル:非平衡系での相加性原理について

第24回

日時:12月20日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:島田尚氏

講演タイトル:生態系進化の簡単なグラフモデルについて

講演要旨:
進化論的時間における生態系の性質は、複雑な開放系の代表として物理学も含む幅広い分野の注目を集めてきた対象です。実地や化石の解析から大絶滅や種数変動、食物連鎖網や系統樹の構造などにおける特徴的なパターンが報告されており、我々はこれらの異なった側面を多種が共存・相互作用しあう同一の系が示す性質として理解しようと研究を進めています。本講演では、主に最近提案した簡単なグラフダイナミクスのモデルを紹介し、特徴的な種の寿命分布が再現される事や、相互作用の本数の増加につれて種数の振る舞いが有限->発散->有限と2回の転移をすることを示します。

(参考:以下等)
Y. Murase, T. Shimada, and N. Ito, New J. of Phys. 12, (2010) 063021 (New J. of Physics 'Best of 2010')

第23回

日時:12月14日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:竹内一将(東大理)

講演タイトル:揺らぐ成長界面の普遍性 ~実験で見るランダム行列との不思議な関係~

講演要旨:
界面成長が示す揺らぎの普遍法則を紹介する。液晶乱流界面の揺らぎを実験的に測定すると、Kardar-Parisi-Zhang(KPZ)クラスのスケーリング則だけでなく、分布関数や相関関数などの詳細な統計的性質にまで普遍性が現れる。ここで現れる統計則はランダム行列理論と密接な関係を持ち、また界面形状に依存する特異な性質を示す。本結果はスケール不変な非平衡現象がもちうる詳細な普遍性の実験例となっている。

References:
K. A. Takeuchi and M. Sano, PRL 104, 230601 (2010).
K. A. Takeuchi et al., Scientific Reports (Nature) 1, 34 (2011).

第22回

日時:12月7日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:田中久陽(電気通信大学)

講演タイトル:振動子の引き込み同期の「設計」理論構築と応用

講演要旨:
 この数年、古典的な引き込み同期(注入同期)の現代版リバイバルが情報通信 や先端的農業の分野にあらわに見られるようになっている。 例えばVLSI研究のオリンピックと呼ばれる国際会議ISSCCでは、この数年、ミリ 波帯での注入同期回路が例年複数件発表されている:
http://news.mynavi.jp/news/2010/02/08/056/index.html
また「植物工場」と呼ばれる先端的農業:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E5%B7%A5%E5%A0%B4
においても、生産性の向上のために概日時計の制御が必須となり、引き込み同期 のデザインが求められている。
 一方、非線形物理の枠内では、引き込み同期を含む結合振動子の取り扱い方法 に整備が進み洗練されてはいる。 しかしながら、以上のような現場からの要請には応えることができていない。 その一因は、振動子の引き込みを議論する際の、エネルギー論的な側面を考慮外 としてきたことにあるだろう。
 発表者は、最近、原田氏(東大)、Kiss氏(セントルイス大)と共同し、この エネルギー論的な側面を考慮した引き込み同期の取扱いに端緒を開いた。 その後、この結果は当初予期していたよりも豊かな理論的構造と応用の可能性を もつことが、徐々に明らかになりつつある。 その未公開の成果を含め、皆様の議論に提供したい。

第21回

日時:11月29日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:羽田野直道

講演タイトル:量子ドットのリウビリアンの複素固有値問題と時間反転対称性の破れ

講演要旨:
無限に長い導線に不純物ドットが付いているモデルのリウビリアンの固有値問題を厳密に計算する手法を述べます。また、その複素固有値を数値的厳密に求めた計算の結果を報告します。リウビリアンの固有状態として、減衰する解と成長する解が別個に求まりました。これら個々の解は時間反転対称性を破っています。

第20回

日時:11月22日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:出口哲生(お茶大理)

講演タイトル:孤立した可積分量子多体系における局在波の非平衡緩和ダイナミクス

講演要旨:
最近、可解模型の新しい物理理的応用例として、可積分量子多体系の時間発展、特に非平衡緩和ダイナミクスが注目されている。 常識的に言えば、散逸のない量子多体系の時間発展で平衡状態が実現することはないと予想される。 しかし、孤立した可積分量子多体系の時間発展の中で、絶対零度の非平衡緩和過程と解釈できるような振る舞いの例が議論されている。 さらにごく最近、デルタ関数型相互作用の1次元ボース粒子系において、 孤立した局在波解をベーテ状態の重ね合わせとして実現できることが分かった。 (J. Sato, R. Kanamoto, E. Kaminishi and T. D., in preparation)。 この結果、局在波が崩壊する過程を数値的に厳密に長時間追跡することが可能となり、 例えば、崩壊現象と同時に再帰現象が見出された。 この可積分量子系は冷却原子系で実現可能であることから、近い将来、 孤立波の崩壊過程や再帰現象が実験で観測されるかもしれない。

本セミナーでは、最初に代数的ベーテ仮設法の発展の歴史と 形状因子のスラブノフ公式などの主要な計算方法を簡単に解説した後に、 興味深い時間発展のシミュレーションの例をを紹介する。 そして、量子力学的なエルゴ―ド定理など、 物理的解釈に関係しそうな興味深い話題を紹介する。

第19回

日時:11月15日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:仙場浩一(NTT物性科学基礎研究所 超伝導量子物理研究グループリーダ)

講演タイトル:ダイヤモンド中の電子スピン集団と超伝導磁束量子ビット系で観測されたコヒーレントな量子結合

講演要旨:
微小ジョセフソン接合を含むアルミニウム超伝導回路を用いた超伝導量子ビットの特徴は原子などのミクロな量子系に比べて、その制御や測定が遙かに容易なこと、cavity QED 実験で必須となる強結合条件もまた容易に実現できることが挙げられる[1]。これらの特徴は、この系が制御装置や測定装置に直接同軸ケーブルで繋げられるほど多数の原子から成る巨視的量子系であることに起因している。
量子プロセッサとして期待されている超伝導量子ビットの高い制御性や強結合に基づく高速量子演算の可能性と、原子分子などの自然な量子ビットのもつ優れた量子コヒーレンス性との「いいとこ取り」を目指した ハイブリッド量子系 が近年注目されている。
本講演では、世界の研究動向にも言及しながら、日本の研究チームの最近の取り組み(ダイヤモンドの NV 色中心スピン集団と超伝導磁束量子ビットとを直接強結合させた実験[2])について紹介したい。

[1]「超伝導回路で共振器量子電磁力学実験が可能に!」物理学会誌p.37-41 Vol.64 No.1(2009) http://ci.nii.ac.jp/naid/110007008193
[2] "Coherent coupling of a superconducting flux qubit to an electron spin ensemble in diamond", Xiaobo. Zhu et al., Nature 478, 221-224, doi:10.1038/nature10462

第17回

日時:11月1日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:松尾衛(日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター)

講演タイトル:加速系におけるスピン軌道相互作用とスピン流生成

講演要旨:
スピントロニクスは、従来のエレクトロニクスで利用されてきた電子の電荷だけでなく、スピンの自由度も利用する。特に、今日のスピントロニクスでは、電子スピンの流れである「スピン流」の生成・制御・検出法の確立が重要課題となっている。ナノスケールで制御された物質を用いて、光学特性[1]、 スピン軌道相互作用[2]、磁化ダイナミクス[3]、熱[4]を利用したスピン流制御手法が、これまで提案・検証されてきた。

一方、固体の加速運動の電子への影響に関する研究には長い歴史がある。古くは、アインシュタイン・ドハース効果、バーネット効果のような回転運動と磁性の相互作用、スチュワート・トールマン効果のような加速運動による電気蓄積[5]があり、近年では、固体の加速運動のナノ磁性に対する効果も調べられている[6]。ところが、スピン流に対する加速運動の効果の研究は行われてこなかった。

そこで、我々は新たに、固体の加速運動と電子スピンとの相互作用を利用したスピン流生成法を提案した[7]。加速する固体中の電子物性を記述するには、従来利用されてきた慣性系における物性理論を、非慣性系へ拡張する必要がある。本研究では、一般共変ディラック方程式の低エネルギー展開から、力学的回転および並進加速によって拡張されたスピン軌道相互作用を含む、非慣性系の電子の基礎方程式を導き、固体の加速運動による新しいスピン流生成機構を示した。

本講演では、最近のスピン流研究に関する背景知識から始め、固体の加速運動によるスピン流生成について紹介する。

参考文献:
[1]A. Hirohata et al., Phys. Rev. B 62, 104425 (2001); L. K. Werake and H. Zhao, Nat. Phys. 6, 875 (2010).
[2]Y. K. Kato et al, Scient 306, 1910 (2002); J. Wunderlich et al., Phys. Rev. Lett. 94, 047204 (2005).
[3]Y. Tserkovnyak et al., Phys. Rev. Lett. 88, 117601 (2002); S. E. Barnes and S. Maekawa, Phys. Rev. Lett. 98, 246601 (2007).
[4]K. Uchida et al, Nature 455, 778 (2008).
[5]A. Einstein and W. J. de Haas, Verh. Dtsch. Phys. Ges. 17, 152 (1915); S. J. Barnett, Phys. Rev. 6, 239 (1915); R. T. Tolman and T. Stewart, Phys. Rev. 8, 97 (1916).
[6]D. Rugar et al., Nature 360, 563 (1992); T. M. Wallis et al., Appl. Phys. Lett. 89; 122502 (2006), G. Zolfagharkhani et al., Nat. Nanotechnol. 3, 720 (2008).
[7]M. Matsuo, J. Ieda, E. Saitoh, and S. Maekawa, Phys. Rev. Lett. 106, 076601 (2011); Appl. Phys. Lett. 98, 242501 (2011); Phys. Rev. B 84, 104410 (2011).

第16回

日時:10月25日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:久保結丸(Quantronics group, SPEC, CEA-Saclay)

講演タイトル:超伝導量子ビットと電子スピン集団によるハイブリッド量子回路 - Hybrid Quantum Circuit with a Superconducting Qubit coupled to an Electron Spin Ensemble

講演要旨:
We have realized strong coupling between an ensemble of electron spins and a frequency tunable superconducting resonator. The spins are Nitrogen-Vacancy (NV) centers in a diamond crystal. The achievement of strong coupling is manifested by the appearance of a vacuum Rabi splitting in the transmission spectrum of the resonator when it is tuned through the NV center electron spin resonance frequency [1]. We also report storage and retrieval of a small microwave field from a superconducting resonator into collective excitations of a NV ensemble [2].
We also report an experimental realization of a hybrid quantum circuit in which a superconducting qubit of the transmon type is coherently coupled to a spin ensemble consisting of nitrogen-vacancy (NV) centers in a diamond crystal via a frequency-tunable superconducting resonator acting as a quantum bus. Using this circuit, we prepare arbitrary superpositions of the qubit states that we store into collective excitations of the spin ensemble and retrieve back later on into the qubit. We demonstrate that this process preserves quantum coherence by performing quantum state tomography of the qubit. These results constitute a first proof of concept of spin-ensemble based quantum memory for superconducting qubits.

[1] Y. Kubo et al., Phys. Rev. Lett. 105, 140502 (2010).
[2] Y. Kubo et al., arXiv: 1109.3960.

第15回

日時:10月11日15より

場所:理1号館447号室

講演者:紺野友彦

講演タイトル:A Condition for Cooperation in a Game on Complex Networks

講演要旨:
We study a condition of favoring cooperation in a Prisoner's Dilemma game on complex networks. There are two kinds of players: cooperators and defectors. Cooperators pay a benefit b to their neighbors at a cost c, whereas defectors only receive a benefit. The game is a death-birth process with weak selection. Although it has been widely thought that b/c> <k> is a condition of favoring cooperation, we find that b/c> <knn> is the condition. We also show that among three representative networks, namely, regular, random, and scale-free, a regular network favors cooperation the most whereas a scale-free network favors cooperation the least. In an ideal scale-free network, cooperation is never realized. Whether or not the scale-free network and network heterogeneity favor cooperation depends on the details of the game, although it is occasionally believed that these favor cooperation irrespective of the game structure.

Reference:
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022519310005783

第14回

日時:10月4日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:川本達郎

講演タイトル:Microscopic analysis of the microscopic reversibility

講演要旨:
We investigate the robustness of the microscopic reversibility in open quantum systems which is discussed by Monnai [arXiv:1106.1982 (2011)]. We derive an exact relation between the forward transition probability and the reversed transition probability in the case of a general measurement basis. We show that the microscopic reversibility acquires some corrections in general and discuss the physical meaning of the corrections. Under certain processes, some of the correction terms vanish and we numerically confirmed that the remaining correction term becomes negligible; for such processes, the microscopic reversibility almost holds even when the local system cannot be regarded as macroscopic.

References:
T. Monnai, arXiv:1106.1982v1 (2011)
T. Kawamoto, arXiv:1106.3788v2 (2011)

第13回

日時:9月28日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:S. Ramasesha (Indian Institute of Science)

講演タイトル:Modeling magnetic anisotropy in molecular magnets

講演要旨:
In the emerging field of Single-Molecule Magnets (SMMs) two very important aspects are (i) solving the exchange Hamiltonian and (ii) computing molecular magnetic anisotropy constants Dm and Bm. We introduce a method for spin and spatial symmetry adapted technique for solving the exchange Hamiltonian. We present a theoretical approach to calculate these constants from single-ion anisotropies [1]. We treat anisotropy Hamiltonian (Ha) as perturbation to exchange Hamiltonian (He). To get anisotropy constants (from Ha) in a chosen spin-sector (say, ground-state spin) one has to first solve He to obtain eigenstate(s) with required total spin. For large system solving He can pose a serious challenge. To overcome these problems, we here employ a new hybrid technique based on Valence Bond and Constant Ms basis, developed by us, which exploits both spin and spatial symmetries to (a) block-diagonalize He to smaller dimensions and (b) designate eigenstates with appropriate total spin [2]. Neglecting intersite dipolar interactions, we calculate molecular magnetic anisotropy in a given total spin state from the known single-ion anisotropies of the transition metal centers. The method is applied to Mn12Ac and Fe8 in their ground and first few excited eigenstates, as an illustration. We have also studied the effect of orientation of local anisotropies on the molecular anisotropy in various eigenstates of the exchange Hamiltonian. We find that, in case of Mn12Ac, the molecular anisotropy depends strongly on the orientation of the local anisotropies and the spin of the state. The Dm value of Mn12Ac is almost independent of the orientation of the local anisotropy of the core Mn(IV) ions. In the case of Fe8, the dependence of molecular anisotropy on the spin of the state in question is weaker. We have also calculated the anisotropy constants for several sets of exchange parameters and found that in Mn12Ac the anisotropy increases with spin excitation gap, while in Fe8, the anisotropy is almost independent of the gap.

References:
[1] Ramasesha, S.; Sahoo, S.; Rajamani, R.; Sen, D. J. Chem. Sci. 121, 823 (2009).
[2] Sahoo, S.; Rajamani, R.; Ramasesha, S.; Sen, D. Phys. Rev. B 78, 054408 (2008).
[3] Rajamani, R.; Ramasesha, S.; Sen, D. Phys. Rev. B 78, 104408 (2008).
[4] Shaon Sahoo and S. Ramasesha, Int. J. Quantum Chem. DOI 10.1002/qua23097 (2011).

第12回

日時:7月26日17時より

場所:63講義室(工6号館 269号室)

講演者:Tomio Yamakoshi Petroski

講演タイトル:Level Repulsion of Eigenstates of the Liouvillian in Asteroid belt in the Solar System, and its analogy to the Band-Spectrum of an Electron in Solid State Physics

講演要旨:
In spite of the fact that the Liouville equation is the fundamental equation in classical dynamics, this equation is not yet well investigated except for non-equilibrium statistical mechanics. In this lecture, we discuss an interesting application of the Liouvillian formulation to a classical dynamics on the solar system. We estimate the size of the Kirkwood gaps in the distribution of main belt asteroids in terms of the eigenvalue problem of the Liouvillian. This is a long standing problem in a non-integrable system, because of the small denominator difficulty of the nonlinear system due to the resonance singularity. We show that this problem is solved on the level of distribution function instead of a trajectory level. The problem is treated as an example of a restricted three-body problem that consists of an asteroid, Sun, and Jupiter. Jupiter is treated as a perturbation on the asteroid-Sun two-body problem. We found that the eigenstate of the Liouvillian of this two-body problem has a threefold degeneracy at the resonance point inside the Kirkwood gaps. Using the degenerate perturbation theory which has been extensively developed in quantum mechanics, we can analyze the resonance effect on the resonance point without divergence. The perturbation due to Jupiter removes the degeneracy and results a level repulsion in the eigenvalues, just as the same mechanism of the level repulsion in the eigenvalues of the Hamiltonian for an electron in quantum solid-state physics. As a result, the spectrum of the Liouvillian for the three-body problem has a band structure in the frequency space. Since the degeneracy is threefold, there is a stable eigenstate inside the resonance region. The stability is independent of the intensity of the perturbation determined by the eccentricity of the asteroid. This explains the stability of some asteroids with moderately large eccentricity that are located on the resonance orbit inside the Kirkwood gaps.
References
T. Y. Petrosky, Prog. Theor. Phys. 125 (2011) 411.

第11回

日時:7月12日15時より

場所:理学部1号館447

講演者:宮下精二

講演タイトル:Decoherence mechanism of cavity photon and spin ensemble driven by an external AC field

講演要旨:
Quantum dynamics of a cavity system consists of photon and spin ensemble driven by an external AC field. We will study properties of stationary state under driving field. We study mechanisms of decoherence, and discuss on the possibilities of the super-radiance and also an instability due to optical bistability. The coupling between the material (hereafter we call it 'spin system') and the cavity modes has attracts interests. Effects of the cavity have been studied by the Jaynes-Cummings model. Recently, several experimental results have been reported [1,2,3]. We will study the eigenenergy distribution of the multi-spin system (Tavis-Cummings model) which shows a peculiar structure with the number of cavity photons and the number of spins. We study how the line shape change reflecting this structure, and investigate the change from a double-peak structure to a single peak structure.[4,5]. Moreover, we study an extended model in which the total spin of the system is also reduced. [5]. We also discuss on mechanisms of decoherence phenomena of the Rabi oscillation driven by the external field [6].

[1] I. Chiorescu, N. Groll, S. Bertaina, T. Mori, and S. Miyashita, Phys. Rev. B 82, 024413(2010).
[2] D. I. Schster, et al. Phys. Rev. Lett. 105 140501 (2010).
[3] Y. Kubo, et al. Phys. Rev. Lett. 105 140502 (2010).
[4] Lev S. Bishop, et al., Nature Phys. 5 105, (2009), R. Houdre, et al., Phys. Rev. A53 2711 (1996). Y. Zhu, et al., Phys. Rev. Lett. 21, 2499 (1990). J. Gripp, et al. Phys. Rev. A54, R3746 (1996). M. G. Raizen, et al.Phys. Rev. Lett. 63 240 (1989).
[5] S. Miyashita, T. Shirai, I. Chiorescu and H. De Raedt, in preparation.
[6] H. De Raedt, B. Barbara, S. Bertains, S. Miyashita and K. Michielsen, in preparation.

第10回

日時:6月28日15時より

場所:理学部1号館447

講演者:桑原

講演タイトル:Maximization of thermal entanglement of arbitrarily interacting two qubits

講演要旨:
本研究では相互作用する2qubit系の熱平衡状態におけるエンタングルメント(thermal entanglement)に関する性質を調査した。 我々は局所ハミルトニアンを調節することによりthermal entanglementを与えられた相互作用の下で最大化した。 結果としてエンタングルメントを最大化する局所ハミルトニアンは温度によらない単純な形式をとり、かつ最大化されたエンタングルメントは温度に対して1/(T logT)で減衰することが分かった。 また低温下においてはいかなる局所ハミルトニアンもエンタングルメントを壊す温度領域が存在し、 さらにこの温度領域の境界部分においては最大化されたエンタングルメントの2次微分が不連続になることが明らかになった。

第9回

日時:6月21日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:小串典子(理化学研究所 基幹研究所 杉田理論生物化学研究室)

講演タイトル:二成分脂質二分子膜中における脂質分子の垂直拡散運動

講演要旨:
生体膜は非常に多種類の構成要素を持つ混合系であり、詳細な組成は膜の種類により異なるが、いずれも単位構造は脂質二分子膜である。各生体膜は組成および構成比が異なる脂質分布を持つ。また、細胞周期や環境によっても各生体膜の脂質分布は変化することが知られている。二分子膜における脂質分布は膜の力学的な安定性を制御しており、生体膜とモデル膜(蛋白質を含まない脂質二分子膜)の最も大きな違いは、蛋白質が直接担う機能を除けば、こうした膜の力学的な安定性にある。特に、二分子膜の上下における脂質分布の変化は膜融合や膜輸送においても重要な役割を持つと考えられるが、これまでモデル膜ではあまり注目されてこなかった。
フリップフロップと呼ばれる二分子膜中での脂質分子の垂直拡散は、脂質の最も遅い運動の一つであり、また、最も広い時間スケールを持つ運動でもある。一般的なリン脂質のフリップフロップは数時間以上の非常に遅い運動である。しかし近年、コレステロールなど一部の脂質分子は数ミリ秒以下での速い垂直拡散を行うことが実験的に明らかになってきた。今回我々は、特に速い垂直拡散を行う典型的な3種類の脂質分子に着目し、熱揺らぎによるフリップフロップ運動について分子動力学シミュレーションを用いて解析を行った。各脂質分子のフリップフロップは脂質の種類により異なり、平均的なフリップフロップの頻度は脂質と水との相互作用の強さにより制御されていることが分かった。これに対し、膜中での拡散の様子は脂質の種類によらず同じ時間スケールを持つ。

第8回

日時:6月14日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:Per A. Rikvold (Florida State Univ.)

講演タイトル:Statistical Mechanics and Partitioning of Power Grids

講演要旨:
Many partitioning methods may be used to partition a network into smaller clusters while minimizing the number of cuts needed.However, other considerations must also be taken into account when a network represents a real system such as a power grid.
In this paper we use a simulated annealing Monte Carlo (MC) method to optimize initial clusters on the Florida high-voltage power-grid network that were formed by associating each load with its "closest" generator.
The clusters are optimized to maximize internal connectivity within the individual clusters and minimize the power deficiency or surplus that clusters may otherwise have.

第7回

日時:6月7日14時より

場所:理学部新1号館447

講演者:Cristian Enachescu (Alexandru Ioan Cuza University)

講演タイトル:Models in spin crossover compounds: from mean-field to Ising and elastic approaches

講演要旨:
Spin transition molecules are composed of transition-metals ions having four to seven electrons in their valence d-shell situated in an octahedral ligand field, which splits the d orbitals into antibonding eg and weakly bonding t2g orbitals. Due to a higher occupancy of the eg orbitals in high-spin molecules, their molecular volume is larger than the one of low spin molecules. The difference in molecular volume between the two possible spin states induces distortions of the sample lattice during the transition, which are are at the origin of intermolecular interactions.
In this talk, I will present the evolution of models elaborated in order to establish how the interactions between molecules influence the static and the dynamic properties of spin-crossover solids. Using phenomenological interaction parameters, acting similarly for all molecules, the mean field models were used to reproduce several of the characteristic features of spin crossover compounds. However, these simple models do not distinguish between short range and long range interactions and therefore do not allow an advanced analysis of the hysteresis loops, nor are they able to explain how the effect of the individual switch of molecules spreads is transmitted through the entire solid. Considering the cooperativity as the result of changes of the volume, shape and elasticity of the lattice during transition, the concept of “image pressure” has been therefore introduced and Ising-like models, taking into account simultaneously short and long range interactions have been equally proposed. They led to the conclusion that while long range interactions act rather on the width of the hysteresis loop, the short range effect is essentially visible through the steepness of the thermal hysteresis loop and the occurrence of steps. Another approach is based on the hypothesis that the spin transition occurs through concerted switching of domains of molecules in a given spin state, allowing the reproduction of experimentally observed minor hysteresis loops by considering different inter or intra-domain interactions.
A recently developed family of elastic models is based on the so-called ball and string concept. They stand on the realistic idea that the difference of molecular volumes in the two states is at the origin of elastic interactions and induces a shift of the molecules in the system during the transition. Such a ball and spring model, using the molecular dynamics approach, has been used for studying various processes such as the thermal and pressure hysteresis or relaxation phenomena in continuous and open boundary systems. The mechano-elastic model considering molecules linked by connecting springs, always in mechanical equilibrium condition, was first introduced for the study of HS-LS relaxation processes and it was subsequently adapted for the study of photophysical processes including the phenomenon of a light induced hysteresis and for the study of the evolution of clusters during the thermal transition. Though different by their approach and method, both the molecular dynamics and the mechano-elastic model led to similar conclusions and, particularly, using open boundary conditions are able to reproduce the cluster formation starting from edges or corners, in accordance with experimental data.
References
[1] C. Enachescu, L. Stoleriu, A. Stancu, A. Hauser, Phys. Rev. Lett., 102, 257204, 2009, Phys. Rev. B, 82(10), 104114, 2010, J. Appl. Phys., 109, 07B111, 2011 and ref. therein
[2] C. Enachescu, M. Nishino, S. Miyashita, et al, EPL, 91(2), 27003, 2010
[3] M. Nishino, S. Miyashita, K. Boukheddaden et al. Phys. Rev. Lett, 98, 247203, 2007; Phys. Rev. B, 79, 012409, 2009, Phys. Rev. B, 82(2), 020409, 2010 and ref. therein

第6回

日時:5月31日17時より

場所:理学部4号館1320

講演者:大越慎一(東大理化)

講演タイトル:磁気化学を基盤とした新規磁性物質の創成

講演要旨:
本研究室では、スピン化学に着目し、磁気相転移、強誘電相転移、熱的相転移、 光誘起相転移などを示す新規物質の創製を行い、光磁性および非線形磁気光学と いった光と磁気の相関現象等に関する研究を推進してきた。また、化学的合成を 駆使することで巨大な保磁力を示すイプシロン型酸化鉄(ε-Fe2O3)や光可逆金属 半導体転移を示すラムダ型五酸化三チタン(λ-Ti3O5)といった新規金属酸化物ナノ微粒子の合成を行ってきた。本講演では、分子設計に基づく新規磁性体の合成と光磁性の観測、巨大保磁力および高性能ミリ波吸収特性を示すイプシロン型酸化鉄、光可逆金属‐半導体転移を示すラムダ型五酸化三チタンについて紹介する。

第4回

日時:5月17日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:田中宗(東大理化 大越研究室 学振特別研究員)

講演タイトル:透明状態のあるPottsモデルの相転移と秩序融解過程

講演要旨:
自発的対称性を伴う相転移の研究は、平衡統計物理学の中心課題の一つである。強磁性Pottsモデルは、相転移点における離散的な対称性の自発的破れを統一的に取り扱うことのできる、最もシンプルなモデルである。Pottsモデルはイジングモデルからの素直な拡張としての純粋数理物理学的興味のみならず、いくつかの実験において観測される相転移現象を説明しうるモデルとしてもその地位を確立している。離散的対称性を破る相転移の転移の次数、さらには臨界指数が、同じ離散的対称性を破るPottsモデルのそれらと一致するという、きわめて美しい結果がいくつか提示されてきた。しかしそのような状況が当てはまらない相転移も存在する。ある種の2次元フラストレーション系に見られる、3回対称性を自発的に破る1次相転移[1,2,3]がその一例である。2次元3状態強磁性Pottsモデルは2次転移を示すという常識と、この結果とは相反する。そこで我々はPottsモデルを拡張することで転移の次数を変化させることができるか?という問題を検討した。通常q状態Pottsモデルにおいては、q個の状態を取り得る変数から構成される。我々はそこに「透明状態」と呼ばれる状態を導入した[4]。透明状態は内部エネルギーに影響を与えないが、エントロピーや自由エネルギーを変化させる状態である。透明状態を導入することで、qが4以下の場合、もともと2次転移を起こす強磁性Pottsモデルが1次転移を起こすことがモンテカルロシミュレーション・平均場近似により明らかになった[4,5]。我々のモデルはPottsモデルの素直な拡張であり、統計物理学的に基礎的なモデルと言える。ただし、本研究における1次転移を引き起こす「黒幕」である透明状態が、実際の系において何に対応するかを明確にすることは今後の課題である。また、1次転移を引き起こす系は、非平衡状態にも特徴的な興味深い振る舞いが多数知られている。近年、ガラス転移と1次相転移点近傍の動的過程の関係について興味が持たれている[6]。我々は、転移点よりわずかに高温における、完全に秩序化された状態からの秩序の融解過程を調べた[7]。また、透明状態はある種の揺らぎと見なせることから、最適化問題に対する新しい応用につながる可能性があると考えている[8]。

本研究は田村亮氏(東大物性研)、川島直輝教授(東大物性研)との共同研究 である。

References:
[1] R. Tamura and N. Kawashima, J. Phys. Soc. Jpn., 77 103002 (2008).
[2] E. M. Stoudenmire, S. Trebst and L. Balents, Phys. Rev. B 79, 214436 (2009).
[3] S. Okumura, H. Kawamura, T. Ohkubo, and Y. Motome, J. Phys. Soc. Jpn., 79 114705 (2010).
[4] R. Tamura, S. Tanaka, and N. Kawashima, Prog. Theor. Phys., 124 381 (2010).
[5] S. Tanaka, R. Tamura, and N. Kawashima, arXiv:1102.5475.
[6] F. Krzakala and L. Zdeborova, J. Chem. Phys. 134, 034512 (2011), J. Chem. Phys. 134, 034513 (2011).
[7] S. Tanaka and R. Tamura, arXiv:1012.4254.
[8] S. Tanaka, R. Tamura, I. Sato, and K. Kurihara, arXiv:1104.3246.

第3回

日時:5月10日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:正木晶子(首都大理工)

講演タイトル:光学格子上のボーズ・フェルミ混合系での引 力相互作用によるモット転移の誘発

講演要旨:
近年、3次元光学格子系の実験で、ボーズ・フェルミ間が引力の場合、ボーズ凝 縮体に数パーセントのフェルミ粒子を混ぜることで、そのコヒーレンスが失われ る結果が得られている[1]。この現象はシングルバンドのハバードモデルでは説 明できず、未だ決定的な理論が得られていない。
そこで我々は、有効的なボーズ・フェルミ・ハバードモデルを開拓し、これを用いて量子モンテカルロシミュレーションを行った。結果、フェルミ粒子数に比例して超流動密度が低下し、モット絶縁体転移が誘発されることでコヒーレンスが低下することが確認できた。

[1]Th. Best et al., Phys. Rev. Lett. 102, 030408(2009)

第2回

日時:4月26日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:泉田 勇輝

講演タイトル:最大仕事率で動く非線形不可逆熱機関の効率の上限値

講演要旨:
近年、熱機関の最大仕事率時の効率を決定する理論的な研究が注目を集めている。カルノーサイクルは熱機関における最大効率を達成するモデルである一方、無限の時間をかけて動作するので仕事率(単位時間あたりの仕事)はゼロになるという問題点もある。より実用的な観点からは最大仕事率で動作するほうが望ましい場合も多い。このような最大仕事率で動作する熱機関に適用可能な法則はあるだろうか。古くは1975年にCurzonとAhlbornが熱機関の最大仕事率時の効率がカルノー効率のように熱源の温度のみで与えられるとする公式(Curzon-Ahlborn(CA)効率)を提案した[1]。2005年にVan den Broeckが線形不可逆熱力学を用いて、CA効率が定常状態で動く線形不可逆熱機関の最大仕事率時の効率の上限値であることを一般的に導いて以来[2]、多くの理論的な研究が行われている。

今回の発表では研究の背景から始め、ここ5年ほどの進展について紹介し、最後にVan den Broeckによる線形不可逆熱機関の理論をミニマルに非線形領域に拡張した我々の最近の取り組み[3]について議論する。これにより、線形領域を超えた場合にはCA効率は上限値とはならず、別の(熱源の温度のみで定まるような)上限値が存在することが明らかになった。

参考文献
[1] F. Curzon and B. Ahlborn, Am. J. Phys, 43, 22 (1975).
[2] C. Van den Broeck, Phys. Rev. Lett. 95, 190602 (2005).
[3] Y. Izumida and K. Okuda, arXiv: 1104.1542.

第1回

日時:4月19日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:新M1

講演タイトル:

講演要旨:
研究紹介