統計力学セミナー予定表 2012年度


連絡先: 島田尚(shimadaあっと ap.t.u-tokyo.ac.jp)、 森貴司(moriあっと spin.phys.s.u-tokyo.ac.jp)
宮下研究室伊藤研究室 (セミナー)| 羽田野研究室 (セミナー)

これからのセミナー

日時 場所 講演者(敬称略) 講演題目

これまでのセミナー

日時 講演者(敬称略) 講演題目
2月18日 George Jackeli氏(Max Planck Institute for Solid State Research, Stuttgart) Classical Dimers in Orbitally Degenerate Quantum Antiferromagnets
2月14日 田村亮氏(物質・材料研究機構) 複数の相互作用が競合する
三角格子スピン系における相転移
1月22日 中村正明氏(東京工業大学) 分数量子Hall状態を記述する厳密に解ける1次元格子模型
12月18日 Savannah S. Garmon氏 Bound state influence on long-time non-exponential decay in open quantum systems
11月27日 荒畑恵美子氏 葉巻型トラップ中Bose原子気体における音波の伝播
11月20日 田中宗氏 (東大院理
学振特別研究員)
2次元量子系のエンタングルメントスペクトル -- VBS状態と量子格子気体模型を例として --
10月16日 白井達彦氏 キャビティ系における非平衡相転移現象
10月9日 柳澤大地氏(茨城大学理学部) 群集運動のモデル化と実験 ‐退出・待ち行列・リズムに合わせた歩行‐
7月3日 渡辺宙志氏
(東京大学物性研究所
物質設計評価施設)
超並列計算機における分子動力学シミュレーションの現状と展望
6月26日 羽田野直道氏 開放量子系のハミルトニアンとリウビリアンの
複素固有値問題
6月12日 Per Arne Rikvold氏
(Dept. of Physics, Florida State Univ.)
Modeling Power Grids
6月5日 Ferenc Kun氏
(Univ. Debrecen)
Stick-slip dynamics in the fiber bundle model
5月29日 島田尚氏 生態系進化の簡単なグラフモデルにおける種数発散転移とその機構について
5月15日 宮下精二氏 Spin crossoverの弾性エネルギー模型における短距離相互作用の効果
4月24日 能川知昭氏 非平衡状態における等重率の仮定の有用性: Pottsモデルの定温緩和における検証
4月17日 古谷峻介氏 擬一次元量子スピン系の有効場理論と電子スピン共鳴
4月10日 新M1(1)・川本達郎氏(2) 研究紹介(1)・ツイッターの確率モデル(2)
所属が書かれていない講演者は、宮下研、伊藤研、羽田野研の所属です。
過去のセミナー: 2011年度2010年度2009年度2008年度2007年度2006年度2005年度2004年度2003年度2002年度2001年度2000年度1999年度

第17回

日時:2月18日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:George Jackeli (Max Planck Institute for Solid State Research, Stuttgart)

講演タイトル:Classical Dimers in Orbitally Degenerate Quantum Antiferromagnets

講演要旨:
Orbitally degenerate magnetic compounds are known to often develop nonmagnetic ground states without long-range magnetic order and with a spin gap. We will present a theory behind this phenomenon.
We discuss a microscopic spin-orbital model for a family of orbitally degenerate quantum magnets on a wide class of lattices in two and three dimensions. The orbitals are assumed to have a directional character and are represented by classical Potts-like variables. We argue that the orbital degrees of freedom induce a spontaneous dimerization of spins and drive them into highly degenerate nonmagnetic manifold spanned by hard-core dimer (spin-singlet) coverings of the underlying lattice. Two possible mechanisms of lifting this extensive degeneracy will be discussed: (i) by order-out-of-disorder due to the virtual triplet fluctuations and (ii) by magneto-elastic interaction. They lead to dimer condensation into a valence bond crystal pattern and provide an explanation for dimerized superstructures seen experimentally.

第16回

日時:2月14日15時30分より

場所:理1号館447号室

講演者:田村亮(物質・材料研究機構)

講演タイトル:複数の相互作用が競合する三角格子スピン系における相転移

講演要旨:
 幾何学的フラストレーションを内在した系では,スパイラルスピン構造(螺旋構造)のような非従来型の磁気構造が現れる.秩序変数空間は,磁気構造の対称性に対応しているため,フラストレート系では多様な秩序変数空間が現れる.秩序変数空間はトポロジカル欠陥の有無に関連しており,相転移の分類に対して有用であることが知られている.実際,秩序変数空間が異なれば,相転移の様相も異なるため,これらの間にある関係について議論がなされてきた.一つの例として,川村・宮下により研究されてきた,三角格子ハイゼンベルク模型におけるZ_2渦転移が挙げられる[1].これはSO(3)対称性の渦欠陥の解離現象のことを指す.このように,フラストレーションの効果によって新しいタイプの相転移が生じうるため,フラストレーション系における相転移の理論研究は盛んに行われている.またいくつかの場合においては,理論研究において予言された相転移が実験的にも確認されている.
 本研究では,複数の相互作用が競合する三角格子上ハイゼンベルク模型における有限温度相転移を調査した.複数の相互作用が競合する系では,スピンのグローバル回転対称性と格子が持つ離散的対称性の直積で表される秩序変数空間が現れる場合がある.実際,我々の扱った模型では,秩序変数空間がSO(3)xC_3およびSO(3)xZ_2となる場合が出現する.モンテカルロ法を用いた数値計算の結果,SO(3)xC_3の場合には一次相転移が[2,3],SO(3)xZ_2の場合には2次元イジング模型のユニヴァーサリティークラスに属する二次相転移[4]がそれぞれ起こることが分かった.さらに,どちらの相転移点においても,SO(3)対称性の渦欠陥の解離が同時に起こることを見出した.

本研究は,田中宗氏(東大院理)および川島直輝先生(東大物性研)との共同研究である.

[1] H. Kawamura and S. Miyashita, J. Phys. Soc. Jpn. 53, 4138 (1984).
[2] R. Tamura and N. Kawashima, J. Phys. Soc. Jpn. 77, 103002 (2008).
[3] R. Tamura and N. Kawashima, J. Phys. Soc. Jpn. 80, 074008 (2011).
[4] R. Tamura, S. Tanaka, and N. Kawashima, arXiv: 1209.2520.

第15回

日時:1月22日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:中村正明(東京工業大学)

講演タイトル:分数量子Hall状態を記述する厳密に解ける1次元格子模型

講演要旨:
我々は、最低Landau準位の占有率が$\nu=1/q$となる分数量子Hall状態(Laughlinシリーズ)を記述する、厳密に解ける1次元格子模型を見出した[1,2]。磁場中の2次元電子系は、Landauゲージとトーラス型の境界条件を用いて第2量子化を行うことで、長距離相互作用を持つ1次元格子模型として表示ができることが知られているが、(Thin-TorusあるいはTao-Thouless極限と呼ばれる)トーラスが細い極限において系が電荷密度波状態となることから、ここを起点として、主要な相互作用を段階的に取り込んでいき、射影演算子で書き換えることで厳密基底状態を持つハミルトニアンの構築が可能となる。この厳密に解ける模型はLaughlin の波動関数に対応する擬ポテンシャルと同じ解析的構造を持ことが示され、厳密基底状態は、有限系においてLaughlin の波動関数と大きなオーバーラップを持ち、さらに、占有率の分母の偶奇、あるいはFermi 系とBose系による性質の違いといった、Laughlin波動関数の一般的な性質を自然に与えることがわかる。さらに行列積の方法により、密度関数、相関関数、エンタングルメントスペクトルなどの物理量を解析的に計算することができる。エンタングルメントスペクトルは、Li-Haldaneの予想のとおり、エッジ状態のカイラル朝永・Luttinger液体に振る舞いを再現する。また、行列積法による励起スペクトルの計算により超流動のロトン的挙動が得られる。

[1] Nakamura, Wang and Bergholtz, Phys. Rev. Lett. 109 (2012) 016401
[2] Wang and Nakamura, arXiv:1206.3071

第14回

日時:12月18日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:Savannah S. Garmon

講演タイトル:Bound state influence on long-time non-exponential decay in open quantum systems

講演要旨:
It is known that quantum systems yield power law decay on long time scales, associated with continuum threshold effects. For an open quantum system consisting of a discrete state coupled to continuum, we study the case in which a discrete bound state of the full Hamiltonian approaches the energy continuum as the system parameters are varied. We find that at least two regions exist yielding qualitatively different power law decay behaviors; we term these the long time "near zone" and long time "far zone." In the near zone the survival probability falls off according to a t^{-1} power law, and in the far zone it falls off as t^{-3}. We show that the timescale T_Q separating these two regions is inversely related to the gap between the discrete bound state energy and the continuum threshold. In the case that the bound state is absorbed into the continuum and vanishes, then the time scale T_Q diverges and the survival probability follows the t^{-1} power law even on asymptotic scales. Conversely, one could study the case of an anti-bound state approaching the threshold before being ejected from the continuum to form a bound state. Again the t^{-1} power law dominates precisely at the point of ejection. We also demonstrate an example of a quantum system in which exponential decay vanishes from the system entirely.

[1] S. Garmon, T. Petrosky, L. Simine, and D. Segal, Fortschr. Phys. DOI: 10.1002/prop.201200077; arXiv: 1204.6141

第13回

日時:11月27日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:荒畑恵美子

講演タイトル:葉巻型トラップ中Bose原子気体における音波の伝播

講演要旨:
 近年、強く相互作用する極低温原子気体における流体力学的音波の重要性が 再認識され、音波の観測が盛んに行われている。最近では、葉巻型トラップ 中超流動Bose原子気体において、非凝縮体が流体力学極限にある領域での音 波の伝播の実験が行われ、第二音波の存在を示唆する観測結果が得られている [1]。しかし、この実験では第一音波は観測されていないため、この実験に おいて観測された音波が二流体力学で記述される第二音波であるという確証 はまだ得られていない。このように、超流動体における流体力学的音波のダ イナミクスを詳細に調べるためには、第一音波と第二音波を同時に観測する 必要があるが、第一音波と第二音波が密度の応答として観測可能な振幅で励 起するかどうかは明らかにされていないのが現状である。 本研究では、この実験状況下でのBose原子気体における第一および第二音波のパルス伝播のついて凝縮体と非凝縮体を同時に取り扱えるZaremba- Nikuni-Griffin(ZNG)理論[2]を一次元性の強い系に適用できるように拡張し、数値シミュレーションを行った。ZNG理論では、GP方程式を用いて凝縮体 の運動を、また、非凝縮体の運動についてはBoltzmann方程式を用いて記述し ている。本研究では特に、音波の凝縮体および非凝縮体における振幅の温度 依存性について、詳しく議論し、第二音波の観測可能性について検証する。

[1]R. Meppelink, S. B. Koller, and P. van der Straten, Phys. Rev. A 80, 043605 (2009).
[2]E. Zaremba, T. Nikuni, and A. Griffin, J. Low Temp. Phys. 116, 277 (2009).

第12回

日時:11月20日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:田中宗(東大院理 学振特別研究員)

講演タイトル:2次元量子系のエンタングルメントスペクトル -- VBS状態と量子格子気体模型を例として --

講演要旨:
 近年、量子多体系におけるエンタングルメントの研究が、統計物理学・計算物理学・物性科学・量子情報科学など様々な分野において盛んに行われている。特に統計物理学的観点からは、量子多体模型の特徴とエンタングルメントの特性との関係を検討することが重要な課題である。例えば、ギャップレスの1次元系に関しては、対応する共形場理論の情報を読み取れることが知られている。また、ギャップのある1次元系についてはエンタングルメントエントロピーの飽和値と端状態の状態数の関係が明らかにされている。一方で2次元以上の量子多体系に関するエンタングルメントの特性については現在いくつかのグループが精力的に検討しているところである。我々は、具体的な問題、特に解析的に取り扱うことが可能な系について注目し、着実に得られる結果を礎として、2次元以上の量子系におけるエンタングルメントの特性に関する知見を積み上げるという方針を取っている。我々は

(a)正方格子上・六角格子上のVBS状態[1,2]
(b)正方格子・三角格子上の量子格子気体模型[3]

について、エンタングルメントエントロピーやエンタングルメントスペクトル、 我々が新しく導入した nested entanglement entropy と呼ばれる量の解析を行った。特にエンタングルメントスペクトルの「低エネルギー」における構造と基本的なモデルの分散関係が類似していることを見出した。また幾つかの場合について、有限サイズスケーリングやnested entanglement entropy の解析を通じて、基本的なモデルの中心電荷が現れることを示した。

 本研究は、桂法称氏(学習院大学)、Anatol Kirillov氏(京大数理解析研究所)、Vladimir Korepin氏(YITP, Stony Brook)、川島直輝氏(東大物性研)、Lou Jie氏(Fudan university)、田村亮氏(物材機構)との共同研究である。

References:
[1] Hosho Katsura, Naoki Kawashima, Anatol N. Kirillov, Vladimir E. Korepin, and Shu Tanaka, Journal of Physics A 43, 255303 (2010).
[2] Jie Lou, Shu Tanaka, Hosho Katsura, and Naoki Kawashima, Physical Review B 84, 245128 (2011).
[3] Shu Tanaka, Ryo Tamura, and Hosho Katsura, Physical Review A 86, 032326 (2012).

第11回

日時:10月16日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:白井達彦

講演タイトル:キャビティ系における非平衡相転移現象

講演要旨:
キャビティとは、鏡を用いて光を閉じ込めることのできる装置であり、位相の揃った光を用いて多くの研究がなされてきた。定常状態での非平衡相転移現象の研究も行われており、レーザーによる周期的な外場の効果と、キャビティ中に閉じ込められた原子集団と光との相互作用の効果によって様々な現象が引き起こされる。

本発表では、周期外場や相互作用の強い未知の領域での現象について説明する。さらに、周期外場の強くかかった領域で現れる相転移現象においては相互作用項の対称性が大切であることを、有効スピンモデルを用いて説明する。

第10回

日時:10月9日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:柳澤大地 (茨城大学理学部)

講演タイトル:群集運動のモデル化と実験 ‐退出・待ち行列・リズムに合わせた歩行‐

講演要旨:
本セミナーでは、「群集の部屋からの退出」・「人の待ち行列」・「リズムに合わせた群集の歩行」のモデル化と解析、及び、実際の人による実験について講演を行う。

1.群集の部屋からの退出
幅の広くない出口に大勢の人が殺到すると、出口周りに人のクラスターができる。このような状況で単位幅の出口を単位時間当たりに通過することができる人数は「流動係数」と呼ばれ、総避難時間を決定する重要な指標になっている。本研究では、出口周りにおける人どうしの衝突といった相互作用をセルオートマトンによってモデル化し、流動係数を理論的に導くことに成功した。この流動係数の式を解析すると、幅が狭い出口では競争し合うよりも協力し合う方が全体として早く退出できることや、適切な位置に特定の障害物を設置すると流動係数が大きくなることが分かる。また、これらの現象は人による実験においても確認することができる。

2.人の待ち行列
切符やチケットの券売機や銀行のATMなどを多くの人が利用しようとすると、そこに待ち行列が形成される。そこでの待ち時間を短縮する方法は、窓口利用時間の短縮(切符を手早く買ってもらったり、ATMの操作を素早く行ってもらったりすること)以外一見ないように思われるが、「待ち行列理論」で考慮されていない歩行距離の効果を考えると、歩行時間の無駄を省くことによって待ち時間を改善できることが分かる。本研究では、待ち行列モデルとセルオートマトンを組み合わせたモデルの解析と実際の人による実験から、歩行距離を取り入れたモデルがより現実的であることや、混み具合などの状況により適切な待ち行列の形態が変化することを示す。

3.リズムに合わせた群集の歩行
音楽が個人の歩行にどのような影響を及ぼすかといったことが F. Styns, L. Noorden, D. Moelants, and M. Leman, "Walking on music", Human Movement Science, 26, 769 (2007)で調べられている。この研究をヒントに、我々は一定のリズムが集団の歩行に及ぼす影響をモデル化して解析を行い、混雑時に人が通常の歩行ペースより遅いリズムに合わせて歩行すると、集団の歩行速度がかえって速くなり流れが改善されることを予測した。そして実際の人による実験によって、モデルから得られた結果を確認することにも成功した。

第9回

日時:7月3日16時より

場所:理1号館447号室

講演者:渡辺宙志 (東京大学物性研究所 物質設計評価施設)

講演タイトル:超並列計算機における分子動力学シミュレーションの現状と展望

講演要旨:
「京」コンピュータをはじめとして、昨今のスパコンの計算能力の 向上は主にコア数の増加による。このような計算機を使いこなすためには 1万プロセスを超えるようなメモリ分散型の並列計算が必須となる。 我々はそのような大規模並列機向けの古典分子動力学法コードの 開発に取り組んでおり、これまでに1万プロセス、数十億粒子規模まで 実用的な計算が可能であることを確認している[1]。
 今回我々は東京大学情報基盤センターFX10の全系(4800ノード)を 用いてベンチマーク計算及びプロダクトランを行った。 ベンチマークでは最大で384億粒子の計算を行い、 193TFLOPS(ピーク性能比17%)の性能を達成した。 プロダクトランは14億5千万粒子系において急減圧シミュレーションを 行い、多重気泡生成から気泡間相互作用によるOstwald的成長を確認した。
 本講演では、大規模分子動力学計算の現状と展望の他、最近行った 気液相転移における臨界指数決定についても報告する[2]。

[1] H. Watanabe, M. Suzuki, and N. Ito, Prog. Theor. Phys. 126 (2011) 203.
[2] H. Watanabe, N. Ito, and C.-K. Hu, J. Chem. Phys. 136 (2012) 204102.

第8回

日時:6月26日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:羽田野直道

講演タイトル:開放量子系のハミルトニアンとリウビリアンの複素固有値問題

講演要旨:
開放量子系のハミルトニアンは、ヒルベルト空間外では一般に非エルミート演算子であり、複素固有値を持つことができます。これは物理的には共鳴状態に対応しており、時間反転対称性を破る点が重要です。最近、同様の議論をリウビリアンにも拡張しました。一般に、ハミルトニアンの2つの固有値の差はリウビリアンの自明な固有値になりますが、その形では書けない非自明な複素固有値を得ました。その計算法と物理的意味を併せて報告します。

第7回

日時:6月12日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:Per Arne Rikvold (Dept. of Physics, Florida State Univ.)

講演タイトル:Modeling Power Grids

講演要旨:
Power grids are complex engineering systems of vital importance to modern industrialized societies, and it is important to understand how to improve their resistance to the spread of local malfunctions. However, because of security concerns it is difficult to obtain detailed data on the structures, generating capacities, and power demands for real power systems. In order to be able to test network-analysis algorithms under a variety of conditions, it is therefore desirable to develop artificial models that can be tuned to reflect properties of real grids, and also can be scaled to study effects of the grid size.

Here I present a study in which we use Monte Carlo methods to generate random grids that agree with the degree distribution for the vertices (power plants and consumers) and the length distribution for the transmission lines in the Florida high-voltage power grid. These model grids are used to test the perfomance of algorithms to partition the grid into semi-independent islands. We find that it is more difficult to partition these model grids than the real Florida grid, suggesting that the real grid contains correlations that are absent in our current generation of models.

第6回

日時:6月5日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:Ferenc Kun (Univ. Debrecen)

講演タイトル:Stick-slip dynamics in the fiber bundle model

講演要旨:
N/A

第5回

日時:5月29日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:島田尚

講演タイトル:生態系進化の簡単なグラフモデルにおける種数発散転移とその機構について

講演要旨:
そこに含まれる各々の要素が他の要素との相互作用に依存してのみ存在できるような系で、かつ新規な要素の出現とその変化による要素の消滅とが時間発展を支配するような状況は広く見られる。生態系が格好の例であるが、他にも企業間の取引関係や生体内の遺伝子発現や化学反応のネットワーク等が挙げられるであろう。

このような系の普遍的側面を理解するためのミニマルモデルとして我々は簡単なグラフモデルを提案してきた。このモデルの最も興味深い点は唯一のパラメターである種あたりの相互作用の本数の増加につれて種数の振る舞いが有限→発散→有限と2回の転移をすることである。本講演ではこの転移の機構について報告する。

第4回

日時:5月15日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:宮下精二

講演タイトル:Spin crossoverの弾性エネルギー模型における短距離相互作用の効果

講演要旨:
スピンクロスオーバー系での格子変形に関する弾性エネルギーの効果について研究を進めてきているが、今回は、弾性エネルギーの効果とスピン間の短距離相互作用が共存した場合について調べる。
特に、これまで詳しく調べてきた短距離強磁性の場合に加え、短距離相互作用が反強 磁性の場合に、両者の競合、相乗作用について調べ、逐次相転移、準安定構造、相転移のユニバーサリティクラスなどについて考察する。また、ドメインが伝搬しているときの実効相互作用についても考察する。

第3回

日時:4月24日15時より

場所:理1号館447号室

講演者:能川知昭

講演タイトル:非平衡状態における等重率の仮定の有用性: Pottsモデルの定温緩和における検証

講演要旨:
平衡状態は少数の示量変数によって巨視的には完全に指定される。 非平衡状態を指定するには一般に大自由度、つまりミクロな記述が 必要になるが、少しの変数拡張によって十分な記述が可能な系は 多くあると考えられる。 そのような系では、「ある示量変数の組を持つ非平衡状態は その示量変数で指定される、履歴に依存しない典型的な状態をとる」 つまり「非平衡状態において等重率の原理が(近似的に)成り立っている」 ということが示唆される。 このような状態はある種の平衡状態であるが、 カノニカル分布にあらわれるものとは示量変数の間の関係が異なる。

我々はこのような拡張された平衡状態の情報を用いて 示量変数に対するマスター方程式を構築する方法を提案し、 2次元Pottsモデルの臨界緩和に適用した。 平衡状態を記述するのに十分な1変数のマスター方程式のダイナミクスは 微視的に構成したダイナミクスとは似ても似つかないのに対し、 2変数では定量的に非常に良い一致を得た。 これは2変数にして初めて定温の平衡系には現れない状態を 扱うことができるようになるためである。

第2回

日時:4月17日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:古谷峻介

講演タイトル:擬一次元量子スピン系の有効場理論と電子スピン共鳴

講演要旨:
電子スピン共鳴(ESR)は、電子スピンによる振動磁場の共鳴吸収現象であり、精密な測定が可能なために広範な分野において実験的に応用されている。 低次元量子スピン系などの強い相互作用を持つ系におけるESRは、そのスピン間相互作用を反映し特有の振る舞いを見せる。 近年、低次元量子スピン系において盛んにESR実験が行われているが、その理論研究は未だ発展途上である。 本発表では、S=1 反強磁性鎖[1]とS=1/2 2本脚梯子系[2]におけるスピン間相互作用のESRへ及ぼす影響を有効場理論と数値計算を用いて議論する。

REFERENCES:
[1] S. C. Furuya, T. Suzuki, S. Takayoshi, Y. Maeda and M. Oshikawa, PRB 84, 180410(R) (2011)
[2] S. C. Furuya, P. Bouillot, C. Kollath, M. Oshikawa and T. Giamarchi, PRL 108, 037204 (2012)

第1回

日時:4月10日15時より

場所:理学部新1号館447

講演者:新M1(1)・川本達郎(2)

講演タイトル:研究紹介(1)・ツイッターの確率モデル(2)

講演要旨:
(1)
研究紹介

(2)
ツイッター[1]はマイクロブログと呼ばれる人気のウェブサービスで、自分の書 いた、ツイートと呼ばれる短い文章を何人かに向けて発信することができます。 ツイッターは、リツいートと呼ばれる機能によって、その文章がよりたくさんの 人々へ拡散していくことが大きな特徴です。このツールの重要な関心はリツイー トによってどれだけの人にツイートが届いたかということです。今までにデータ 解析を中心とした議論はいくつか行われてきましたが、その拡散ダイナミクスの 理論的な解析は未開拓でした。

今回、ツイートの伝播はランダム乗算過程という確率過程で良くモデル化できる ことを発見しました。また、それによって、ツイートはどれくらい伝搬するのか や、実効的なフォロワー数[2]を推定できることを明らかにしました。さらに、 総リツイート数を求める問題は、(非エルミート)ランダム結合量子鎖の問題と捉 えることができることを示します。

[1] twitter.com
[2] フォロワー:ツイートが直接発信される相手ユーザーのこと。